【住】部屋の温度バリアフリーの話

部屋の “温度の段差” を気にしない人が多い

日本では、部屋の温度差による健康被害があまり広く知られていません。特に、寒い冬に気をつけたいのが「ヒートショック」です。

ヒートショックの話

ヒートショックとは、急激な温度変化によって起こる健康被害の一つです。冬場の入浴時に特に多く現れます。

交通事故の4倍もの人が入浴中に亡くなっている

1年間で、交通事故による死者数のおよそ4000万人に対し、入浴中の事故死者数は1万4000人と、交通事故の約4倍にのぼります。
急激な温度変化により、血管の収縮と拡張が繰り返され血圧が変動し、血管や脳に負担がかかります。突然のめまいや身体の痛み、頭痛。さらには、失神や心筋梗塞、脳梗塞、不整脈を引き起こす恐れもあります。

ヒートショックは冬場に起こる

ヒートショックは冬場に最も多く、被害者数は12〜1月は、最も少ない8月の10倍にのぼります。暖房で暖められた部屋(24℃)から、寒い廊下を通り、脱衣所で服を脱ぎ、また暖かい湯船に浸かるまでに、血圧が大幅に上下します。
寝ていてトイレに起きた場合も当てはまります。暖かい布団の中から、寒い廊下、トイレへ行く時も血圧に負担がかかり、これがヒートショックを引き起こす要因になるのです。

欧米では暖かい家に住むことが当たり前

欧米においては、脱衣所や浴室、トイレ、刑務所に至るまで、18℃以上が保たれており、暖かい室内に住むのは当たり前の人権と認識されています。それに比べると、冬場、10℃以下になってしまう日本で一般的に多い室温レベルは、発展途上国レベルと言えます。人が普段いる部屋だけを暖房で温めればいいという日本と、建物自体の断熱性能を高めて全体を暖めるという欧米との、考え方の違いがあります。

ヒートショックで亡くなるのは大きな問題ですが、それ以外の若い人、女性や子供でも、身体にストレスが溜まり少なからず悪影響は出ていると言われています。若い人であろうと、他人事ではない問題です。

室内環境が悪いと、子供の勉強の成績や仕事の生産性も落ちる

国土交通省でも研究されています

国土交通省で、室内の環境が良くなれば、知的生産性(仕事や学習の効率)が上がるので、その経済効果を図る研究がされています。
その中でも、室温が重要になるのは、事務作業や、論理的思考に影響があるといいます。
ある夏に行った実験によれば、25.7℃(わずかに適温より暖かい温度)にした場合に効率が最も良く、28℃の時は15%も効率が落ちたそうです。

室内環境で生産性を高める

室内環境で仕事の生産性を上げるという考えは、これも欧米では取り入れられており、良い環境のオフィスを借りるために高い家賃を借りるという考え方が一般的になっているそうです。
生産性には、室内の温度だけでなく、照明やCO2濃度、天井の高さや窓の位置などの間取りに至るまで、多くの要素が絡みます。
部屋を変えることで、勉強の成績や、仕事の効率がアップするかもしれませんね!

体感温度や湿度も重要

体感温度は壁や窓の温度で変わる

寒くなると、常に暖房をつけていないと辛いという人も多いのではないでしょうか。エアコンの設定温度も人によって違いますが、それはエアコンの性能の違いではなく、体感温度の違いかもしれません。
エアコンやストーブに、現在の室温が表示されますが、実際の体感温度はそれだけでは決まりません。人の体は、周囲の物と、温度のやり取りをしています。これを輻射(ふくしゃ)と言います。そうすると、周囲の物の温度と、室温の平均値が体感温度になるのです。つまり、室温が20℃あったとしても、窓の表面の温度が10℃しかなければ、体感温度は15℃になってしまいます。
エアコンやストーブの設定温度は25℃、26℃以上にしないとうちは寒い!という方。窓の近くに行くとより寒くありませんか?断熱性能の高い窓や壁にすることが、根本的な解決につながります。

乾燥を防ぐために加湿器だけを使うデメリット

冬になると特に、空気の乾燥が気になりますよね。乾燥は肌の大敵ですし、インフルエンザなどの感染リスクも高まります。冬はどうしてもと、暖房を使うと湿度は下がってしまいますので、その時に加湿器も一緒に使うとします。
室温が20℃で、理想的な湿度と言われる60%にすると、12℃で結露が発生します。一般的なアルミサッシはこれ以下の温度になりがちですので、結露が発生し、部屋の湿度を奪ってしまいます。つまり、断熱性能の低い窓のサッシや壁は、除湿機の役割をしてしまうのです。
加湿器をつけながらもサッシが結露していたら、まるで穴の空いているバケツに水を注ぎ続けているようなものですよね。最近広まってきている断熱リフォームは、乾燥対策のためにも有効なんですね。

まとめ

ヒートショックの問題や、温湿度が人の活動に与える影響をまとめました。次の記事では、部屋の環境の違いで、様々な疾患で改善効果が見られた例をご紹介します。

 

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