海外で規制がかかるコーンシロップ(異性化糖)とは?

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コーンシロップとは?

皆さんは食品を選ぶ際に、成分表をどのくらいチェックしていますか?

よく見るという方は、「ブドウ糖果糖液糖」や、「高果糖液糖」という言葉を見たことがあるかもしれません。

これらは、炭酸飲料やスポーツドリンクなどのジュース類、プリンやゼリー、菓子パン、スイーツ、チューハイ、ドレッシング、アイス、調味料など、多くの食品に含まれています。異性化糖(コーンシロップ)と呼ばれています。

砂糖とは違うの?

JASの規格では

これら異性化糖は、日本農林規格(JAS)(http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000986.html)で以下のように分類されています。

  • ブドウ糖果糖液糖:果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50 % 未満のもの。
  • 果糖ブドウ糖液糖:果糖含有率が 50 % 以上 90 % 未満のもの。
  • 高果糖液糖:果糖含有率が 90 % 以上のもの。
  • 砂糖混合異性化液糖:上記の液糖に 10 % 以上の砂糖を加えたもの(その液糖がブドウ糖果糖液糖であれば、砂糖混合ブドウ糖果糖液糖)。

作られ方

異性化糖液の作り方は、

トウモロコシやジャガイモ、あるいはサツマイモなどのデンプン(それぞれコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉の懸濁液)を酵素で糖化させた後、含まれるブドウ糖の一部を別の酵素で果糖に異性化させたものである。(wikipedia

つまり、デンプンを酵素で分解して工業的に作った、ブドウ糖と果糖の混合液です。

また、甘味度が高く、値段も安いことから、身の回りの食品で多く使われていると考えられます。

ーー砂糖の甘味度(甘みの強さ)を 100 とすると、ブドウ糖の甘味度は 65 – 80、果糖は 120 – 170 で、甘味度の強さは 果糖 > 砂糖 > ブドウ糖 の順である。そのため、果糖分 42 % のブドウ糖果糖液糖の甘味度は 70 – 90、果糖分 55 % の果糖ブドウ糖液糖は 100 – 120 である。ーーーー砂糖より甘みが口中に残りにくく、低温下で甘味度を増すので、清涼飲料や冷菓などに多く使われている。異性化糖は価格も安い(果糖分 55 % の果糖ブドウ糖液糖は砂糖の7割程度)ので、他に缶詰、パン、みりん風調味料などにも使われている。ーーー(wikipedia

もともと、砂糖の代用品として、清涼飲料水などで広まりました。

(参照:独立行政法人農畜産業振興機構:https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000544.html

アメリカでは制限されている?

ダイアモンドオンライン「天然甘味料でも要注意!米国で使用制限広がる「異性化糖(果糖ぶどう糖液糖)」があふれる日本」でも、健康への悪影響が示唆されています。この記事では、ブドウ糖と果糖の代謝経路の違いなどが言及されています。

ブドウ糖と果糖

ブドウ糖と果糖は、どちらの糖質の中で最小単位である「単糖類」に分類されます。ブドウ糖はご飯やパン、麺類などの炭水化物に含まれ、果糖は果物や蜂蜜に含まれます。ブドウ糖と果糖では、代謝経路が異なります。

  • ブドウ糖は小腸から吸収され、血液中に入りエネルギーになる。余った分は中性脂肪となり蓄積されます。
  • 果糖はほとんどが肝臓で代謝されるので、血糖値をあげない。肝臓で中性脂肪にされ、脂肪として蓄積されます。

また、果糖の場合は、ブドウ糖に比べて血糖値をあげにくいため、インスリンの分泌も抑えられますが、満腹感が不足するとのこと。そのため、食べ過ぎを助長する可能性があります。食べ過ぎによる脂肪の蓄積は、様々な疾患を引き起こす可能性があります。

米国医師会も制限を推奨

異性化糖に関しては、米国でも様々な論争が繰り広げられています。

AMA(米国医師会:American Medical Association)は異性化糖などの甘味料が健康に及ぼす影響を調べる独自の研究を奨励するとともに、消費者に対しては米国人のための食事摂取ガイドラインを遵守し、すべての高カロリー甘味料を制限するよう推奨しています。(参照:https://www.cocacola.co.jp/article/caloric-sweetener_04

摂取過剰は健康に良くないことは、これまでの内容からも、想像に難くないでしょう。

日本では

日本では現状、異性化糖の制限や禁止運動などはありません。

しかし、摂取過剰になれば、脂肪を蓄積するという結果が出ている以上、肥満や疾患の予防、健康管理の為にも、ある程度の制限は必要かもしれません。

身の回りの非常に多くの食品に含まれているので、完全に避けることは難しいですが、普段から成分表をチェックするなどして、どのくらいの食品に含まれているかを調べてみてはいかがですか?