食べ物を消化しやすい1日の食べ方とは?

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健康的な食生活は、消化活動にあり

ここで紹介したいのは、制限の厳しい食事方法でも、ダイエット方法でもありません。我慢をしてストレスがかかってしまっては本末転倒です。少しの意識の違いで、消化は改善され、身体の中から変わってくれば、一番あなたにとって適正な体型を維持できます。

消化酵素と代謝酵素の働き

酵素とは、人間のあらゆる活動の潤滑油のようなもので、健康を支えています。その中で消化酵素は食べ物を吸収しやすいような消化するための酵素で、代謝酵素は日々のあらゆる生命活動を行うために働いています。

一般的な食生活をしている人は、その1日の消化に使うエネルギーが、フルマラソン(1600kcal)以上と言われています。消化にエネルギーを使いすぎては、代謝(ターンオーバー)や、仕事や勉強に使うためのエネルギーが足りなくなってしまいます。

1日に使う消化エネルギー

あなたはこれまでに、こんな経験をしたことはありませんか?

  • ランチを食べたら眠くなって午後の仕事や勉強がはかどらなかった。。。
  • 重たい食べ物を食べた後はお腹が張ってしまう。。。
  • 焼肉にご飯、ステーキとポテトなどを食べて、胸焼けで苦しい。。。
  • 胃酸過多で胃の調子が悪い。。。

実はこれらの問題は、食べ物の食べ合わせ方が間違っているために、消化に大きな負担をかけていることが原因です。ランチ後に眠くなるのは、消化にエネルギーを取られているためです。(もしくは、インスリンインパクトの原因も考えられます。)

風邪を引いた時に、食欲が減りませんか?これは、代謝にエネルギーを使うために、消化に回すエネルギーを減らそうとしているためとも言われています。

代謝酵素を活発化させるメリット

食べ合わせを改善すれば、消化酵素の負担が減り、代謝酵素がより活発になります。代謝酵素を活発化させることによって、

  • 肌のターンオーバーが活発化され、美肌効果が期待できる。
  • 運動の効果がより期待できるようになる。
  • 消化活動がうまくいくことで、腸の働きが改善され、お通じが良くなる。
  • 脳の活動も活発化されるため、記憶力や集中力のアップに繋がる。

このように、たくさんのメリットが期待できます。

体の消化に優しい1日の食事のリズム

体に優しい食習慣は、食べる順番がとても大切です。1日の中で、消化の早い果物や野菜を早いうちに食べ、ご飯やお肉、魚、乳製品を1日の仕事が終わった後にいただきましょう。

食べ物は、種類によって消化のスピードが違います。一番速いのが「果物」です。自己消化もできるので、30分ほどで胃を通過してすぐにエネルギーになります。

次に速いのが「野菜」です。1〜2時間で消化でき、自己消化もできます。炭水化物は8時間ほど、肉などのタンパク質は12時間かかります。

この時に注意して欲しいのが、消化の早い果物を、遅い物の後に食べてしまうと、胃の中で渋滞が起き、果物の消化が進まなくなってしまいます。果物を食べるときは、できるだけ胃に食べ物が溜まっていない状態で食べることで、正しい消化をしてくれます。

新鮮な果物は朝がオススメ

新鮮な果物を食べるときはできるだけ胃の中が空の状態にしてください。特に朝のフルーツは、消化のためのエネルギーをほぼ使わずに、1日のエネルギーの補給ができるので、大変オススメです。
果物の消化が渋滞しないためには胃の中を空けておかなければなりませんでした。
具体的な時間の目安としては、野菜の後は2時間、野菜+炭水化物のときは3時間、野菜+タンパク質なら4時間、野菜+炭水化物+タンパク質なら8時間ほどは空けてください。

朝ごはんは無理に食べなくても良い

朝ごはんを食べなければ、1日の活力が出ないと思っていませんか?実は消化にはかなりのエネルギーを必要とするので、色々なものを朝から食べてしまうと、1日のエネルギーが消化に回されてしまいます。それを強いブラックコーヒーで無理やり体を目覚めさせるよりも、消化に良いものを中心に食べましょう。

朝には新鮮なフルーツを食べると、消化にもよく、すぐにエネルギーとして使える糖分も補給することができて、活動的になれます。もしくは、午前中は人間本来のリズムでは「排泄」の時間にあたるので、無理に食べなくても良いのです。

「まず野菜から食べる」は理にかなっている

「野菜から食べると太らない」という話を聞いたことはありませんか?ここまで読んでもらえたら気がつくかもしれませんが、それが消化を助ける食べ方なのです。

効率的に栄養を吸収し、胃の中に残留物も残らなくなります。それが結果的に適正な体重にストンと落としてくれる食べ方です。

お肉はディナーで味わう

消化するのに大きなエネルギーも時間もかかるお肉や魚などは、夕食に食べるとエネルギーを浪費しない食べ方ができます。

1日の仕事を終えてから、残っているエネルギーで消化だけに集中できる時間に食べた方が、体にとっては負担が少ないということです。

炭水化物とたんぱく質の組み合わせ

ステーキとベイクドポテトの付け合わせを食べた例を挙げます。ステーキを分解するためには、酸性の消化液を必要とします。同時にベイクドポテトはアルカリ性の消化液を求めます。これらが同時に分泌されると、酸とアルカリが接触して中和。

どちらもうまく消化が進まないことになってしまいます。結果として消化不良や、胸焼けをする、といったことが身体の中で起きているのです。ですので、加工されたたんぱく質、炭水化物は、同時に摂取することはお勧めしません。同時に食べるなら、野菜やサラダをお勧めします。

自己消化をする食べ物を

野菜や果物は、自らを消化する酵素を持ち合わせています。納豆や漬物などの発酵食品も同じように自らを消化する酵素を持っています。

さらにこれらは胃の中でも特定の種類の消化液を必要としないので、どんな食べ物と一緒に食べても消化することができます。しかし、焼くなどの加工をされたたんぱく質や炭水化物は別です。

よくある質問

無理のある食生活をして、ストレスがかかってしまっては逆に体にとっては負担が大きくなってしまいます。できるだけ効率的な食生活を送るために、よく聞かれる質問についてまとめました。

何事も「摂りすぎ」なければ大きな害はない

お酒の飲み過ぎが良くないのは周知の事ですが、コーヒーや紅茶などのカフェインも、飲みすぎると中枢システムを刺激する物質ですのであまり良い事ではありません。心臓の鼓動を速め、血管に負担がかかり様々な疾患を引き起こす原因となり得ます。

とは言っても、それは1日に数杯程度なら悪影響は低いと言えます。リラックス効果をもたらすので、嗜好品はほどほどに嗜むのが心身にとって一番良い付き合い方です。

果物で果糖を摂りすぎないのか

果物の果糖は、お菓子とは違った性質の糖分ですし、正しく食べている限り(タンパク質などの直後には食べないなど)、食べたいだけ食べても血糖値を上昇させる心配はありません。果物の中の糖分は、肝臓や体に吸収される際にインスリンを必要としないので、インスリンを枯渇させたり膵臓を弱めたりする事がありません。

また、同時に果物の水分も同時にとっているので、お腹がきつくなり、白砂糖入りの菓子と違い食べすぎる事がありません。また、アミノ酸、ファイトケミカル、ビタミン、ミネラルを豊富に摂取することで満腹中枢が満たされやすくなります。

万が一食べ過ぎても、菓子の場合のような悪影響はほとんど起こりません。

米を主食としないと力が出ないのではないか

朝だけは腹持ちが良いお米を食べないと力が出ないのではないかと心配される方もいます。しかし、腹持ちが良いことが、栄養が十分に摂れるということではありません。

食べ物からエネルギーを得るには、まず消化をしなければなりません。果物を空腹時に食べれば、だいたい30分以内に消化され、すぐにエネルギーとして利用されます。お米の場合は消化に3時間はかかりますから、まず3時間は仕事や勉強などの活動ではなく消化にエネルギーが使われてしまいます。

まとめ

同じものを食べるにしても、食べる時間帯、順番によっては、消化にかかる負担が変わるという事をお分りいただけましたでしょうか?

厳しい食事制限をするのではなく、1日の中で食べる時間やタイミングの見極めをするだけで、体重はストンと落ちていきます。健康的な食生活を是非送ってくださいね!

参考文献

『フィット・フォー・ライフ ——健康長寿には「不滅の原則」があった!』(ハーヴィー・ダイアモンド (著),‎ マリリン・ダイアモンド (著),‎ 松田 麻美子 (翻訳))